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ミニヴァー夫人のkojikojiのレビュー・感想・評価

ミニヴァー夫人(1942年製作の映画)
3.0
第15回アカデミー賞作品賞、監督など6部門受賞(1942)

「反戦映画ではない。戦意高揚の映画」

あまりに時代に流された映画で、観る必要はないと思う。
例によって酔狂でない限り。
因みに私は酔狂だから観た。

何故戦争は無くならないのか、それは誰もが自由を勝ち取るための戦いというからだ。ドイツはドイツで自分達こそ自由を勝ち取る戦いをしていると言っていたに違いない。
『「理」は我にあり』と主張すれば戦いは無くなるはずがないのだ。

時代は第二次世界大戦初期のイギリスの田舎町。そこに住むミニヴァー家の人々の日常をミニヴァー夫人(グリア・ガースン)を中心に描いている。
 英国はドイツに宣戦を布告し、第二次世界大戦に参戦する。長男ヴィンは空軍へ志願、上流階級のヘルドン夫人の孫娘キャロルと正式に婚約する。
しかしベルドン夫人は二人の婚約に難色を示すが、ミニヴァー夫人の説得でついに折れ、若い二人は村の人々の祝福を受けて結婚式を挙げる。

ウィリアム・ワイラーの語り口はソフトでなかなかいいのだが、時代背景に押されて、あるいはそう思っていたのかもしれないが、最後の牧師の追悼の挨拶は、「これは我々全員の戦いなのだ、勇気を持って自由へ戦いを勝ち抜こう!」と述べさせる。このスピーチが全て。この映画の趣旨だ。そして高らかに音楽が鳴り響く。つまりどう観ても戦意高揚の映画なのだ。

ということで、残念だが、評価は低くならざるを得ない。
これは「風と共に去りぬ」の奴隷問題とちょっとレベルが違うと思うのだけど。と書いてはみたがどこか引っかかる。


2023.01.16視聴26
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