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お茶と同情のyのレビュー・感想・評価

お茶と同情(1956年製作の映画)
3.5
大人しい性格で、花や舞台・音楽を好む心優しき青年トム。“男らしい”教師や同級生、そして父親にさえ事あるごとに投げかけられる「男らしくあれ」という言葉。裁縫をしていたというだけで馬鹿にされ、“シスターボーイ”だと罵られる生きづらい世界。男はこうあるべきだ、という狭い型にどれだけ綺麗にはまっているかを競うという、反吐が出る人生ゲームの押し付けは『リトル・ダンサー』を想起した。多様性が比較的認められる時代に生きていることは、実はとても恵まれているのだと気付いて悲しくなった。身近な人間が差別主義者であることの虚しさを考えれば、これはデボラ・カーの映画でもある。価値観の押し付けなどしなければ、少しずつの“お茶と同情”だけでも人は救われるのだと思った。
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