『白い花びら』
原題『JUHA 』
OTORIYOSE
1998年、アキ・カウリスマキ
原作はフィンランドの有名作家ユハニ・アホの1911年の小説。
原題のユハは主人公の名前。妻はマルヤ
農家を営むふたりは「子供のようにしあわせでした」。
軽快でほのぼのするまで音楽。そして満面の笑み‼‼
ある日、車の故障で困っているシュイメッカという男を家に泊めるが、彼はマルヤに言い寄り、また迎えにくると言って去っていった。
数週間後、マルヤはめかしこみ、心ここにあらず。別人のようになっていた。
再来したシュイメッカは、実は蝶々も踏み潰すような心のない男だったのだが……
この映画、なんと無声映画‼セリフの少ないカウリスマキ、ついに無声に‼
あ、音楽はある♪
数少ないセリフは、昔の映画同様に黒い画面に文字が写し出される。
その分、音楽と、映像と、些細な演技・演出でみせる。
1時間17分と短いのだけれど、次にどんな展開になるんだろうとみいってしまう。
なので、この後のストーリーは言いません。
ラスト。ゴミ処理場。
やばい、切なすぎる……
心が締め付けられる。
全編、マルヤ目線で描かれているが、最後はやはり原題通りにユハの話となる。
邦題の『白い花びら』も良い題名で、実際に象徴的に描かれる。ある事のあとに、川に白い花が流れていくシーン。白い花とはマルヤの事なのだ。
この話は悲劇なのか、それとも希望に満ちた話なのか。
人間と人間の関係性をきちんと描き、幸せとはなんなのか、幸せとはどこにあるのか、そして深い愛とは何なのかを考えさせられました。
消費社会への警鐘であるとも感じました。
これまた素晴らしい映画で、余韻を残します。
出演はサカリ・クオスマネン(ユハ。『レニングラード・カウボーイズ』)カティ・オーティネン(マルヤ。いつものね。)、アンドレ・ウィレム(シュイメッカ。『ル・アーブルの靴みがき』『ラヴィ・ド・ボエーム』)など、常連さんです♪
途中、シェメイッカの姉が歌うシーン。
「昨日も明日も苦しい心
春にあなたは知るでしょう
愛は傷つくものと」が印象的……