しゆあ

2001年宇宙の旅のしゆあのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
4.5
人間の知性の発展を始まりから終わりまで。
動物から人類へと歩み出す猿人、シンギュラリティを超え主観の闇すら自力を構築したHAL、そして最後の人間の認識を超えた木星の生命体との遭遇は、まさしく観客の困惑した眼差しに象徴される。人類の知性の最終的な帰着を物質を超えた魂の次元に向かえるというこの結末は、神学的な思想を背後に備えているように感じられる。本当に知性を超えた何かへ人間が至るとしたら、それはこれまで思想史では説明のつかないものなんじゃないのか、などとも思う。とかく何の説明もなく初めてこの作品を観た時の意味の分からなさ、これが観客を経験的なSFへと引き込んでいて面白い。68年の作品であっても損なわなれない映像は、むしろ技術が発展していくほどに魅力的になっていくんじゃないかと思うほど、洗練された絵画の印象を与えてくれた。
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