ぴがし

2001年宇宙の旅のぴがしのネタバレレビュー・内容・結末

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

自分よりひと回り若い知人からの勧めと、たまたまアマプラで発見した事を機に初の鑑賞。よく考えたら自分の親父も何回か勧めてきていたが、好きな映画を見ている時に限って「こんなしょうもない映画より『2001年宇宙の旅』を観ろ!」的な言い方で喧嘩売ってくるので一切見る気はなかった。
さて、幅広い世代から今なお支持されている(のか?)SF映画のパイオニアである本作。68年製作という事は、54年前??様々な特撮の手法の黎明期でもあり、いくつかの手法は円熟してきた頃だろうか。冒頭の猿人の特殊メイクが意外とナチュラルであったことから、この手のかぶりもの系の技術はもう十分に完成されていたのだなと感じた。この映画の影響を受けて『猿の惑星』などが作られたのだろう、と思ってたら同年に公開されていた。制作会社同士、この手の表現で鎬を削っていたのだろうか。ともあれ、お猿さんのシーンがちょっとしつこかった。空高く振り上げた牛の大腿骨からの宇宙船へのメタモルフォーゼは今でこそギャグっぽいが、当時としてはかなり斬新な飛躍だったかもしれない。(今日の映画でこれをやったら絶対バッシングされそう)読み取れる範囲でのストーリーは、今でこそありきたりなAIの反乱であるが、この発想も54年前にここまで綿密に想像して出来たというのは恐ろしい。キューブリックは未来人だったのか?終盤、カラフルな閃光と共に宇宙の誕生のような抽象的(もしくは妙に具体的な星雲の誕生の様子か?)な映像がひたすら流れるシーンはもう絶対今では違法なサブリミナル効果による洗脳が組み込まれているだろう。色んなことが頭の中を去来していく中で、一体どれだけの時間この映画に浸っているのかもよくわからなくなってくる。そして鑑賞者に解釈を丸投げするようなラストシーン。ファットアーユードゥーイング!これを理解できてないのは俺だけなのか?それともみんなそうなのか?でもなんか嫌いじゃないかも。うん、なんかすごい良い映画だった……はず。
昔、仮に中学生の頃に親父に勧められたままこの映画を見ていたら「なんだこのクソ映画は!」となっていたに違いない。
しかしながら、今ならきちんと受け止めることが出来る。54年前にCGもなくアナログ手法でこの映画を作ったキューブリックは異常だ。そして時代がそれを許した。正直オチの解釈はよくわからないが、この映像に触発されて生み出されたたくさんのメディアが脳裏をよぎる2時間半だった。一体どれだけのオマージュが生まれたのだろうか。どうやって映像化したのか予想がつく部分もあればさっぱりわからない部分もある。カメラ一つでこの映像が作れるというのは奇跡なのでなかろうか。
さて、これから色んな人の考察を拝見させてもらうのが楽しみだ。
今の私にはこの作品に★をつけるのは難しい。
ぴがし

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