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間諜未だ死せずのmhのレビュー・感想・評価

間諜未だ死せず(1942年製作の映画)
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国民の防諜意識を高めようとせんプロパガンダ映画。
監督吉村公三郎、脚本木下恵介で話の転がりはいいけど、なかなか難解。
一回じゃわからなかったので、二回見る。

①重慶空襲
売り文句であるのべ二万人のエキストラはここで登場したのみ。大したものではなかった。
中国国民党の士官より、日本に行ってスパイ活動してこいと命じられる主人公。
上海租界でひとに会え。
②上海租界
スパイ活動のスタート。
小さなカバンからわざとらしく拳銃を取り出して、「ひっひっひ」と笑う現地案内人。
③唐突に日本国内(開戦後)
佐分利信演じる憲兵が防諜意識を高く持つよう、国民にラジオ放送。
曰く、諜報、宣伝、謀略。秘密戦はおおまかにみっつある。
ちょうどよかった、その一例をお話ししましょうというかたちで、
④日本国内(開戦直前)
過去に戻って、いよいよ本編スタート。
国民党のスパイが、日支友好の手助けをしている日本人一家にご厄介になり、アメリカ人の秘密戦に加担しているという状況を描いている。
噂話というかたちで日本人を惑わしている様子や、アメリカの植民地となっているフィリピン人の屈託だったりと、ストーリーは起伏に富んでる。
足抜けしようとしたとはいえ、協力者だったフィリピン人にも手をかけるアメリカを見て、中国も日本と同じく、利用されていることに気がつくのがクライマックス。
アジアの解放を叫んで、③に追いつく。

「間諜未だ死せず」とは、捕まったアメリカ人スパイの言葉だった。
後年のプロパガンダ映画「開戦の前夜」とほぼ同じ時系列で、同じく憲兵ものなので、一緒に見るとどっちも楽しめる。
松竹の時局ものは、話がしっかりあっていいね。
面白かった!
mh

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