みずいろ

ディープエンド・オブ・オーシャンのみずいろのレビュー・感想・評価

3.5
静かなんだけどこれほどまでに子を持つ母親の心情に迫った映画もなかなかないと思った。3歳の息子が行方不明となり、夫は新しい子供を、と言うけれどそんなことは到底考えられない母。
やっと奇跡的に再会できても、子供はあの頃のままでは当然なく、母は息子の手を離す決断をする。夫は反対するが、母の気持ちがとてもよくわかると私は思った。愛しているから、不幸になどできない。我が子が苦しむ以上の苦しみは、ないのである。自分の孤独や悲しみなんてそれに比べたらちっぽけだ。
兄がずっと抱えていた後悔が明らかになり、それを笑って流す弟。かくれんぼのときも、兄が絶対に来てくれるからこわくなかったんだと笑う。
家族って言葉にできない何かでつながっている、それは小さな出来事や何気ない会話かもしれない。壊れかけては元に戻って、ゆっくり形を変えて、静かに繋がっている。心の深いところに残るような映画だった。
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