菩薩

麻雀放浪記の菩薩のレビュー・感想・評価

麻雀放浪記(1984年製作の映画)
4.5
阿佐田哲也より色川武大派ではあるがこれはちと面白すぎる。84年の作品なのに明らかに終戦直後の作品、異常なまでの完成度。麻雀の何が良いって卓に牌を打ち付ける音であったりそれを捌く手付きであったり、やっぱり割れポンでもお馴染みの加賀まりこのしなやかな指先には魅了された。熟女趣味は無いがこの作品の加賀まりこはエロすぎる、哲がハマるのも無理はない。出目徳、ドサ健、女衒の達、虎さんはまぁいいとして、個性的なキャラクターそれぞれがモノクロの世界に光を放つ。なかでもやはり出目徳か、その名とは裏腹に小汚くとも生きる術を熟知している威厳に満ちた佇まい、コロコロ転がされて泥水に沈むその死に様、どこを取っても画になる。勝ち続けるやつは体のどこかを失くしてる、じゃなきゃ人間無くしてる、得ては捨て、捨てては得るの人生の究極の形である博打に身を捧げた男達の生き様は、薄汚れていながらも高潔に見える、漢だ、漢の映画だ。麻雀を知らずとも一人の青年の成長期としても楽しめるし、全てを愛する者に捧げる女性の悲恋物としての見方もできるし、要するに単なる傑作である。指導に雀鬼桜井の名も…。
菩薩

菩薩