我が道を行くライオン

リード・マイ・リップスの我が道を行くライオンのレビュー・感想・評価

リード・マイ・リップス(2001年製作の映画)
3.3
本作でクローズアップされるのは、ふたりの社会的弱者。難聴の独身女性カルラ(エマニュエル・ドゥヴォス)と、ムショ帰りで保護観察中のポール(ヴァンサン・カッセル)は昼と夜で異なる仕事を共にこなし、両面的な顔を見せる。結果、ふたりでマフィアの大金を盗むために悪戦苦闘するクライム・サスペンスとなるわけだが、そこにスパイスを加えるのがラブストーリー要素。男性不信もあり性に不憫なカルラ、セクシーなルックスで粗雑なポール。ふたりのぎこちない愛の様相が、観る者に緊張感を与える。

クライマックスの金を盗むシーンでは、難聴であるカルラだからこそ成し得る読唇術を用いた二人のやり取りで、見事完全犯罪を遂行させた。このシーンこそ、この映画の全てを物語っていた。リード・マイ・リップス。読唇術だけで犯罪を成功させたのではない。ふたりのぎこちない、よもや愛とは呼べない、唇も交えたことない絶妙な関係が生んだ結託が成功をもたらした。

#ヴァンサンはエロスケ