一郎太

ゴールデンスランバーの一郎太のネタバレレビュー・内容・結末

ゴールデンスランバー(2009年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

 これは原作の力だと思うが、とにかく話の構造が緻密で、細かい伏線回収の楽しさが味わえた。その一方で「なぜか陰謀に巻き込まれ、危険な目に遭う主人公」という状況に対しての説明は大胆に省かれているとも感じた。どうして警察はショットガンを持ち出すほど躍起になっているのか、なぜ青柳が犯人にされたのか、そこを理不尽のままにしておく語りによって、理不尽にさらされ続ける青柳への感情移入がしやすくなっていたと思う。物語の背景を大胆に省略したストーリーテリングは『最終兵器彼女』などにも通じるかもしれないと思った。
 物語の構造としては、クライマックスの花火が「総理を殺した爆発の逆、青柳の命を助ける火」であり「輝かしい青春のリフレイン」であり「皆の心をつなぐ花火(群像劇がひとつになる結節点)」と何重にも文脈が重なっていて特に綺麗だと思った。
 音楽で期待を高めて高めて、落とす瞬間にピタッと止めるという音の使い方が良かった。車の中から見た、顔がはっきり見えない警官のカットも怪しさが強調されて印象的だった。
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