TadashiKato

栄光のランナー 1936ベルリンのTadashiKatoのレビュー・感想・評価

3.5
本作の直前に観た、『トランボ』が素晴らしすぎて、その余韻に浸りすぎた状態で観たので、スコアが辛めに(>_<)同日に複数作品鑑賞するのはやはり難しいな。

本作で1番感動したのはエンドロールで原題『RACE』が表示されたとき。
事前に知らなかったので、成る程のダブルミーニングなのだと、ストンと収まった。
だって、邦題の『栄光のランナー』って全然栄光ではないんだもん!
いや、主人公の成し遂げたことは真に英雄的。ただ、その栄光は公的に認められる事は長らくなかった。なんせアメリカが、ナチスの人種政策を批判し、オリンピックにユダヤ人も黒人も出せとドイツに迫ったとき、アメリカ国内では公民権運動も始まってないんだから。
お涙頂戴で終わらせることなく、そのアメリカの二枚舌、突き詰めればナチもアメリカも同じではないかと正面から示したところは素晴らしい。

『スポットライト』、『トランボ』と同様に社会派の骨太テーマをエンタメに仕立て上げながらも、自国の過去から現在に至るまでの闇をしっかり描くところが、やっぱりアメリカ映画は凄いなと能天気に思う。この映画はアメリカ資本ではないらしいが。
レビューでは賛否両論の競技シーンについて、確かにアッサリしてるけど、無駄にスローモーション多用するよりは良いかと。
TadashiKato

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