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ハプニングのmichiのレビュー・感想・評価

ハプニング(2008年製作の映画)
4.1
ナイト・シャマラン作品だという認識が、ただじゃすまないという期待感を生み、ある意味それは裏切られるのだけれど、状況説明がないまま冒頭から異変、そして90分という時間を突っ走るスゴ味。

説明のなさは没入を誘う。多発的・静寂的に用意された死の場面は、主要人物という投影軸を失うギリギリの演出。実際に重みのある設定はほとんどなく、感情移入した先からどんどん死んでしまう。

スピルバーグの『宇宙戦争』も、背景がほとんど描かれないまま殺戮シーンが続いたけれど、主人公の視点から描写する一人称的技法と殺人マシーンの対決という明快な図式があるせいで分かりやすい。

『ハプニング』は「状況」に対峙する切迫感(とにかくどうなるの!?)が開かれていたのに対し、『宇宙戦争』は対決図式が明快な反面、その一方的な殺戮を受け入れるしかないという絶望感(閉塞感)で重たく、ある意味対照的。
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