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A.I.のネットのレビュー・感想・評価

A.I.(2001年製作の映画)
4.5
冒頭、ロボの目から液体か垂れたのが涙に見えるのとか演出モリモリでさすがスピルバーグって感じ。モリモリなのはいつもなんだけど、子供ロボがいきなり笑うの怖いよてっていうシーンの後ろで雷鳴ってるのかやりすぎ。贅沢なお子様ランチみたいな過剰さ。
テディが登場したときヤバかった。あのえっちらおっちら歩く感じ。徹頭徹尾「ニセモノ」の話だということにもう感動しそうになった。それがわかったと同時にゼメキスがピノキオを作った理由もわかった。ずっとニセモノしか映ってない。
親の愛の話をする時、スピルバーグにとってそれは母親の愛の話であるというのがダダ漏れ。
森の中のドライブ、ブレランの追加ラストカットを思い出す。キューブリックがリドスコに森の映像を貸したことも想起する。てゆーかブレランも人形の話だ。
第一部、一切街が映らない。ずっと家の中。つまりセットの中。虚構性の高いセットの中だけで話が進む感じがもう御伽話。ずっと社会から切り離されていて、第二部から社会・外界が映り始める。
ラストの「思えば遠くへ来たもんだ」感もいい。現実感のない場所、自分が現実だと思うから現実になる場所。こういう「どこでもない場所」を映せるのはすごい。『インターステラー』を当初スピが撮る予定だったというのはこれを見てすごく納得した。そこにいる人間もニセモノ(一日で死んじゃう)だし、実はそもそもそんな理想的な人でもない。何一つ本物がない=デイビッドの理想しかない場所でしか理想を果たせないということはつまり、お前は絶対人間になれねーからなという突きつけでもあり、あまりにも残酷。ニセモノはニセモノで満足せよと。
なぜなら、何一つ本物が存在しない場所でないと、自身のニセモノ性が浮かび上がってしまうから。だからあれは奇跡なんじゃなくて奇跡のように見えるものでしかなく、それを例えば映画と呼ぶのなら、灯りが一部屋ずつ消えゆく様子が見える窓たちはフィルムのコマのようにも見えてくる。やがて映画は終わる。
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