このレビューはネタバレを含みます
「ブニュエルじゃない人が撮ったと言われても違和感がない」みたいなことを言ってる人がいたが、全く同感。
びっくりするくらい急に丸く収まるラスト。十数年が急に飛ぶところなど面白い表現はいくつかあるけれど、誰にもさほど感情移入できず(カルロスのフラストレーションは理解できるが)、そのまま謎に丸く収まって終わる。『忘れられた人々』のラストの余韻の後に見たからか、余計にん?となる終わり方だった。
前半テンポが良すぎるせいで、フリオとの「一生に一度の大恋愛」みたいなのがサラッとしててあまりピンとこない。だから「後悔はしてない!あなたたちのために…」とか堂々と言われてもなぁ…ってなった。あと少なくとも観客に見えている部分からして、夫がそこまで嫌なやつじゃない。
作品の設定を正しく理解できているかは分からないが、『忘れられた人々』では学校にも行けず、不良となった少年が自分がしてない盗みを疑われ誤解されて、そのままやがて死に至るのに対して、この作品では学校に通う裕福な家の少年が、同じように盗みを疑われて叱られるが、やってないと信じてくれる大人がいて、「やってない!」と胸を張って言うと叱っていた父も「そうか」と言ってなんだかんだで許してくれる。あまりに違って面白いな、と思った。