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マンハッタンのneohetareのレビュー・感想・評価

マンハッタン(1979年製作の映画)
5.0
トレイシーの「少しは人を信じなきゃ」という言葉への「……そうしてみようかな」という具合のアイザックの小さな微笑みが本当に素晴らしかった。

人間皆綺麗になんか生きれていないけど、でもそういうもんだしそれで良いんだよ、
間違えても良いんだよ、と清濁併せ呑んだ上で人間の有り様を肯定している大人な映画だった。

そういう世界なのは知ってるんだけどそれでも高潔に生きたい、倫理的に生きたいとか思ってる自分はまだまだ子供です…。

ベルイマン、稲垣、ドヴジェンコ、ルノワールら先人へのリスペクト、白黒撮影、古典ハリウッド的な音使い。映画への愛が溢れていた。
でも一番凄いのはやはり終盤創作メモの録音中に己の気持ちに気がついたアイザックがトレイシーを探して駆けるシーンがこの上なく「映画」だったこと。「今私は映画を観ている!」という感覚で一杯になれて幸福だった。
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