neohetareさんの映画レビュー・感想・評価

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山の音(1954年製作の映画)

4.4

原作が原作なだけに、情報量の多いかなり興味深い作品になっている。原作の終了前に製作が始まっていたらしく、原作とは結末が違うらしいですね。でも映画版のこの終わり方は全く申し分無い出来になっていると思いま>>続きを読む

風と共に散る(1956年製作の映画)

4.0

サークって地味に書き割りとか合成背景を違和感減らしながら使うの上手い。序盤のホテルから見える海とか多分そうだよな。でもマローンが直進してる車運転してんのにめっちゃ左右にハンドル動かして台無しにしててわ>>続きを読む

ひき逃げ(1966年製作の映画)

3.9

めっちゃ変わった社会派映画。
当時はこういう作品が作られるくらいにひき逃げが社会問題として大きかったのかしら。

フラッシュフォワードの描写がユニーク。
悪い未来の予測と現実の境界が終盤ぼやける感じも
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夫婦(1953年製作の映画)

4.8

シネマヴェーラの成瀬特集の存在を見落としてたけどギリ間に合った。配信に無い作品で観たいものがいくつかあったので助かった。

これ超良いじゃん!!
恐らくこういう作品は世の中では佳作と呼ばれるんだろうけ
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ライフ・イズ・ビューティフル(1997年製作の映画)

4.6

名作です。
チャップリン的なユーモアを力にした命懸けの隠れんぼ。

素直に笑える前半と、可笑しいのだけど心からは笑えなくなる後半のコントラスト。

微笑ましい名シーンがいっぱいあった。
前半のグイドが
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翼に賭ける命(1957年製作の映画)

4.2

やはりサークのメロドラマはただではすまん。
ドロドロしたものを描いておきながら最後には豪腕でぶち上げてハリウッド式にまとめ上げるとこが好きなんよな。職人さが感じられて。

サークって亡命ドイツ人だった
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淑女は何を忘れたか(1937年製作の映画)

4.0

すごいなあ、ちょっとアメリカの風味も感じられる小津流の良きコメディ。

桑野通子のモダンな装いがイケてる。ロングコートと半分目が隠れるハットがかっこいい。

『宗方姉妹』に出てたドン・キホーテの言葉が
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周遊する蒸気船(1935年製作の映画)

3.9

ラム酒の悪魔的パワーで火を噴きながら爆走するクレアモア・クイーンズ号😹

フリーティ・ベルかわいい

灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)

4.0

黒澤か小津が名前挙げてたのをどっかで読んで観たいなーでも配信ないなーとかウダウダやってたら先月吉祥寺の中古DVD屋にて発見。しかもわざわざ平置きされてて運命感じちゃったので買いました。

題材としては
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波止場(1954年製作の映画)

4.0

なんか黒澤明と同じバイブスを感じる。
腐りきった社会に慣れ果てた挙句己が心根まで腐らせてしまった人々へ「お前らそれで良いのかよ!闘え!」と投げかけるこの感じが。

あと関係ないけどエヴァマリーセイント
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ニノチカ(1939年製作の映画)

4.5

ラノベだ!
ニノチカのヒロイン像が00年代ラノベ。
共産主義のカリカチュアとしてロボット人間的な無感情な人物として描いていたはずのニノチカが、次第に心の氷を解かしていく感じが面白い。

初めてニノチカ
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旅立ちの時(1988年製作の映画)

4.6

くーっ……ぅうっ……

お前のことを家族皆愛してるよ、だから私達のことは気にせずお前は自分自身の人生を生きるんだよ、きっとまたいつか会えるからね、なんてもう……。

ダニーとローナが海を歩いてるシーン
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オペラハット(1936年製作の映画)

4.5

キャプラの映画で絶対泣かされるマン。

『スミス都へ行く』と同じ構造。善良な心を持った田舎町の人気者がひょんなきっかけで都会で地位を与えられるが、都会の人間の心無い仕打ちによってズタボロに傷つけられる
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長屋紳士録(1947年製作の映画)

4.1

プリミティブな人情話でほろりと来た。
これも実質「大人の見る絵本」や。

小津と成瀬はしばしば子供にフォーカスした作品を出しているが、そのどれもに戦後の子供への同情の眼差しを感じる。

坊やのあの仏頂
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トゥルー・ロマンス(1993年製作の映画)

3.5

人から貸し付けられて半年寝かせていたのを消化。
人が良いと言ったものを自分で観ようとするのは好きなんだが、貸してくれてお膳立てまでされてしまうとなんか観ようって気にならんのよね。

中身は思った以上に
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生きるべきか死ぬべきか(1942年製作の映画)

3.9

これもまた世界一の大芝居。
スティングは多分こっから影響受けてると思う。
1942年の時点でここまでナチスをコケにしてるのすげえな。ヒトラーは観てたんだろうか。

ハムレットの原作での訳に関して以下の
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スミス都へ行く(1939年製作の映画)

4.7

観てる最中だけで5,6回泣いた。
キャプラ大先生ほんまに最高。ありがとう。もう朝4時だからあんま長いこと書けなくてすまん。

これは本質の話ではないけれど、
コインが縦に立つ→そばにあった新聞にスミス
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インテルビスタ(1987年製作の映画)

3.8

買って積んでたBlu-rayを消化。

あたおか。よくこんな頓知気騒ぎを描けるわ。

映画内現実と映画内映画が繋ぎ目がわからんくらいにシームレスに溶け合っているのが面白い。

チネチッタの風景が収めら
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私の殺した男(1932年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

名作……。

こういう良き反戦映画を観る度にこんなに良い作品あったのになんで未だに戦争起きてんねん…全員アホか…映画観ろ…という気分になる。

戦争が一兵士にどれだけの罪を背負わせることになるのかを見
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白い馬(1952年製作の映画)

3.7

少年が引き摺られるとことか馬同士の大喧嘩とか海の中を進む馬とかよく撮れたな。

白毛の表情がまるで人間かのよう。

赤い風船はどこで観れますか。

あにいもうと(1953年製作の映画)

3.9

京マチ子の目つきが凄い。迫力が凄い。

灯籠流しの川辺でさんの背中を見つめる鯛一のカットの次にパッと翌日母に向かって手を振るさんのカットを繋げてるとこにハッとした。鯛一が好きだったさんの回想に一瞬見え
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冬物語(1992年製作の映画)

4.5

2014年に早稲田松竹で四季の物語一気見して以来。Blu-ray持ってたけど眠らせっぱなしだったのを唐突に引っ張り出した。

四季の物語は陰キャが調子乗った挙句誰の心も掴めずに終わる『夏物語』を当時一
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桃色の店/街角 桃色の店(1940年製作の映画)

4.0

胸キュン映画!
ジェームズ・スチュワートかっこいいよなあ。

噂の女(1954年製作の映画)

4.2

希望の光よ差してくれと願っていたら確かに光が差したんだが、暫くしていつものこんな場所無ければ良いのに節でどんより終わってしまったのが惜しかった。
あと一味の何かがあったら、傑作に化ける可能性があった。
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お遊さま(1951年製作の映画)

3.9

相変わらずカメラワーク自然。
人物の動きを丁寧に遅れて追っていて、予定調和感がない。

自分は長回しならなんでもありがたがるタイプではないけど、溝口さんのは一番良いと思う。
ただボーっと撮っているので
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武蔵野夫人(1951年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

溝口映画10本目にしてマイベスト更新っ……。まじか……。

自分が好きな映画は「キャラクター」ではなく「人間」、他人の想定通りばかりには動かず時に非合理にさえ振る舞う人物の姿が描かれた映画。そして特に
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雪夫人絵図(1950年製作の映画)

4.6

は?この作品すご…。

・起雲閣のローマ風呂の湯面カットやば…
・芦ノ湖の雲海?霧?のロケ撮影かっこいい…
・旅館内の横移動のカメラワーク…
・1カット内での雪の神隠し…

溝口作品の中で特別評判が良
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汚名(1946年製作の映画)

4.3

アリシアは「お前が好きだ」の一言が欲しかっただけなんだよ馬鹿野郎!って頭の中でデブリンをぶん殴りながら観てた。

本当の感情を覆い隠す嘘と「バレるかバレないか」のサスペンスという映画における2つの大き
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心のともしび(1954年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

・成し遂げたい目標のために無限の力を引き出すには、誰に知られることなく見返りも求めずに自分を人のために役立て続け己の中に力を蓄えていくこと。
・一度目標のために走り始めたらやり尽くす他ない。その時あな
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華岡青洲の妻(1967年製作の映画)

4.0

若尾文子と高峰秀子の嫁姑バトル。
窓のさんをなぞって「まだ埃がありましてよ」とかチクチク刺すような規模を通り越して、女として私はこれくらい命張れますからというプライドの張り合い。
戦いによりすり減って
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地獄の黙示録(1979年製作の映画)

4.6

これは小説でやれば良いじゃないか、詩でやれば良いじゃないかという映画も数多くある中で、本作は映画でないと表現できない地獄の様相を描き出している。
でも完全無欠の映画という印象でもなく、なんとも言えない
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美貌に罪あり(1959年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

実質『桜の園』と思ったらやはり下敷きにしていたらしい。
長いこと暮らして来た大切な土地を捨て新しい生活へ踏み出す話。大好きなんだよなー。
戦後日本を舞台に翻案していることで日本ならではの家の重んじ方と
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