このレビューはネタバレを含みます
感情も生きる目的も失った1人の女性の物語だと思う。
だから悪いことが起こっても、酷い扱いをされても何とも思わない。
でも、愛されたい、必要とされたいという思いは心の片隅にあったのだろう。だから自分を必要としてくれる、少なくとも相手をしてくれる男には付いていくし、例え犯罪行為であっても自分に重要な役割を与えてくれていると思うと断れなかったのだと思う。
今の人生は嫌、でもそれを変えて新しく生きる気力もお金もない、だから波に身を任すように自分を愛し、養ってくれる男について行こうとしたのだと思う。
そんなワンダがバーで騒がしい人に囲まれたまま1人黙りこんだ様子が印象的だった。生きる気力も死にたいという感情すらももなく、人生迷い、立ち尽くしたように見えた。
評論家のレビューで”She may not know what she wants, but she sure knows what she doesn't.”とあったがまさにそのように感じた。人生の目的や意欲もない、だからといってどうにでもなっても言い訳ではない、だから人生が良い方向に向くまでただ波に身を任せるのだと。
フィルムの質感や全体的にティファニーブルー基調の映像が美しくてとても良かった。スローで美しく、そして悲しくもある映画だったと思う。