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WANDA/ワンダのkeiyuのレビュー・感想・評価

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)
4.4
何となくポスターアートなどで勝手にオブスキュアな嗜好性をもった作品なんだろうと推測して鑑賞したが、全くそうではなかった。
そうとしか生きられない登場人物の悲哀を描くアメリカンニューシネマ的側面とエンタメ性の高い映像編集で楽しくみることができる作品だった。
例えば、縦列して走行する車2台の間に他の車が割り込んできて、相方を見失うまでの一連のシーンにおいて、車載カメラと外から2台の車を追うカメラでの見せ方と編集でアクション映画さながらの面白さがある。
一台を追い抜いき、少し映像が乱れたのち、すぐ前の車の横にカメラがついている映像とかはライブ感含めて痺れた。
テンポの良さ含め派手さのないウォルターヒル的な印象さえ抱くほど映像の娯楽性を感じた。
パンフによると当時の監督はウーマンリブなどに関心が特になく、実際の裁判の記事から着想を得たらしいが、見事にガキぽい男らしさのしょうもなさとか、“良い”とされることの一義性が行き着く息苦しさみたいなのが浮かび上がる作品になっている。
萎れた国旗が何度か映るのもそうした物語を示唆しているようにみえた。
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