ぺんじん

WANDA/ワンダのぺんじんのレビュー・感想・評価

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)
4.3
現実のどうしようもなさがじんわりと押し寄せてくる。ザラザラとしたフィルム感満載の映像に主人公 “WANDA” のため息が映し出される…
結婚生活も続かず、2人の子どもの親権も簡単に手放してしまう、主人公のWANDA。だからといって別に強い女性ではなく、なんとなく周りに流されながら生きてしまう感じは、今から見ると境界知能の女性という感じがする。
そんな主人公が大きな事件に巻き込まれていく感じは『俺たちに明日はない』っぽいぞ!という感じなんだけど、どこかダラダラと進んでいく感じがかなりドライ。映像のホームビデオ感がかえって、リアルな物語に見えてくる。
その場をしのごうとなんとか頑張るにも関わらず、何事も上手く行かないWANDA。途中で出会う男性との関係はWANDA個人の問題というよりも、男女の支配・被支配関係という構造的な問題を映し出しているように見える。その関係性に縋るしかないのだけど、でもそこから振り落としされてしまう女性のなんとも言えない哀しみ。
それでも生きていかなきゃいけない…切ないラストシーンが胸に沁みる…
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