愛

WANDA/ワンダの愛のレビュー・感想・評価

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)
3.6
唐紅を無意識的に等閑し、褪せた白群を召連れ徘徊するワンダ。カーラーを巻いたまま出廷すること、行き摺りの男に軽口を叩きながら食事をすること、彼女の行動に特段意味はない。執着の無さは諦めの果て。
不可逆な時間線に同調できず、何にも興味がなく情熱とは無縁、直面する現実にただ身を委ねては滑り落ちてゆく。

代替不能な存在という概念もなく、誰とも幸せになれない。がらんどうなのに、何も受け付けない。但し無窮の康寧など存在しないということを悟っているかのように。混沌とした軽躁を纏うことが、彼女の処世術なのかと惑わされるほどに。

「なるようにしかならない」と逃遁し続けたり、なんの目標もなくただ時が流れるのを待ったり、自己肯定を守れなくなる。そんな地獄、現代でもゴロゴロと転がっているよ。
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