Yoshishun

オーバー・ザ・トップのYoshishunのレビュー・感想・評価

オーバー・ザ・トップ(1987年製作の映画)
3.5
“アームレスリングで仲直り”

キャノン・フィルムズらしさ全開のシルヴェスター・スタローン主演作。妻子を捨てた男ホークは、10年越しに息子マイクと再会。しかし、祖父の下で育てられた彼にとっては、ホークは赤の他人同然で、渋々病気の母の下へと赴く。道中でホークがハスラーの腕相撲として小遣い稼ぎをしていた事を知るが、悪ガキとの即興対決を経て父と息子の絆は深まっていくが‥‥。

某牛丼チェーン店のモットーのように、(展開が)早い、(製作費が)安い、(でもそれなりに)面白い本作。アームレスリングで冷え切った親子関係が解消されるという、一言で全容が語れる薄っぺらさ。おまけに10年間ホークは何をやっていたのか、母は何故ホークにマイクを託したのか、そもそもアームレスリング世界大会の副賞が何故巨大トラックという運送業以外喜べない代物なのか。全く詳細は語られず、何か雰囲気で処理されていく始末。しかし、ここにキャノン・フィルムズ作品としてのシンプルな良さというものが詰まっている。

エンディングではスタローン自身の出世作『ロッキー』を数倍希釈したようなハッピーエンドで、セルフパロディと言われても納得してしまうレベル。反則技で頂点へと登り詰めていく(オーバー・ザ・トップ)ホーク達を応援する気にはなれないが、何だかんだ綺麗に纏まってはいた。
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