COZY922

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアのCOZY922のレビュー・感想・評価

3.0
” 天国じゃ、みんな、海の話をするんだぜ ” 余命いくばくも無いと宣告された2人の男が、見たことがない海を死ぬ前に見に行くというロードムービー。ドイツ映画です。

死を目の前にしたら自分は何をするんだろうか。体が動く状態なら、大切な人みんなに会いに行く?いつかやりたいと思っていたのに実現できていない何かをする?静かに自分の人生を振り返る? まだまだ想像がつきません。

死の時期を知り現実のものとしてそれを覚悟した2人の男。2人の想いや生き方が伝わる数々のシーンとそれを演出する音楽も素敵です。ただ、私はあまりのめり込めませんでした。1つには死が現実のものとして想像できないからだと思う。もちろん、明日事故で死ぬかもしれない、それはわかっている。でも、毎日を精一杯生きることしか少なくとも今の私にはできない。2つめには多分私はシリアスなテーマにコメディタッチの描写が微妙に混ざったものがあまり得意じゃないのかなと思う。生や死を扱った作品は、テーマ自体が既に重いので、過剰に重苦しい描写よりもややライトな描き方の方がむしろ好きなくらいなんだけど、コメディ感満載のエロ描写や間抜け過ぎるギャングが出てくるシーンに唐突感や居心地の悪さを感じてしまう。お馬鹿な登場人物とギャグを盛り込むのなら徹底的に疾走感あるコメディ仕上げのほうが好きだし、シリアスものならその空気を唐突なギャグで壊さないほうが好き。ギャグがあるからシリアス部分が引き立つという人もいると思うので完全に好みの問題ですね。

最後の海のシーンは良かった。この海が南太平洋の海のような色だったらもっと良かったけどヨーロッパだしそれは仕方ないかな。しばらく時間を置いてもっと歳をとってからまた観たい。
COZY922

COZY922