Omizu

パリ・オペラ座のすべてのOmizuのレビュー・感想・評価

パリ・オペラ座のすべて(2009年製作の映画)
3.5
『ボストン市庁舎』などのドキュメンタリーの巨匠フレデリック・ワイズマン監督作品。第35回セザール賞ではドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。

ワイズマン作品はあまり観ていない。U-NEXTでの配信期限がもうすぐということで鑑賞したのだが、思いの外良かったかも。想像以上のものは特にないんだけど、「いいドキュメンタリーみたな」という満足感のある作品。

世界最高峰のオペラ座バレエ団の裏側を淡々と映した作品で、決して面白いものではないが興味深く観ることができた。

スタイルはもちろんいつものワイズマン。ナレーションなどは入れず淡々と裏側で起こることを記録していく。芸術監督のマネージメント、大口支援者の見学ツアーをめぐる議論、王女メディアを題材とした演目の稽古なんかが印象に残っているかな。

とにかく全員のプロフェッショナルさ、それと相反するフランスのテキトーさの両方を感じた。団員たちは本当にプロフェッショナル。凄すぎる。でも自分の役柄に対して「やりたくない」と言うこともあったり、終盤のストで早く帰ったみたいな発言とか、流石は民主国家フランスだなという感じがした。

ワイズマンの映画はそこまでのめり込めない。それは本作を観ても変わらなかった。でも映画としての完成度は高いと思う。興味深い作品だった。
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