菩薩

牝犬の菩薩のレビュー・感想・評価

牝犬(1931年製作の映画)
4.2
先にラングの『スカーレット・ストーリー』を観てしまったのでアレだが、オリジナルもオリジナルで充分過ぎるほど傑作だし、やはりこの手の教訓(を含んでいないと言いつつも)めいた寓話は典型でありながらも、「他人の不幸は…」と言う様に面白く受け止めてしまう自分にも罪の意識を感じる…。にしてもデデという情夫の徹底的クズ男感はある意味称賛に値するし、お天道様は見ているとでも言いたげなオチも良い、息を吐く様に嘘をつくどっかのおっさんにも観せてやりたいくらいだ。ミシェル・シモンの如何に若い女にヤラれちまった小汚いけど真面目なおっさんな風貌も見事だし、彼がリュリュを滅多刺しにした後の死体のチラ見せが本当に怖い。それでも「人生は素晴らしい」と叫んでしまうのだから、本当に人間は滑稽な生き物であるとの達観、運ばれていく在りし日の自画像に届かなかった夢を見る。
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