おとうちゃん

私の中のあなたのおとうちゃんのレビュー・感想・評価

私の中のあなた(2009年製作の映画)
4.0
我が子の為に我が子を捧げ!

赤ちゃんは偶然生まれる、でも私は作られた...姉の命を救うために・・・

白血病で移植をしないと死んでしまう姉ケイトのスペアパーツの提供者として遺伝子操作で生まれたアナ(アビゲイル・ブレスリン)。
「私だって人間...拒否する権利がある」と11歳のアナが親を訴える。

私の体は姉さんの物じゃない!

「おとうちゃん、すっごくイイ映画だから絶対観て!」
例によって娘が大袈裟に勧めて来た(笑)

愛娘のために弁護士を辞め、髪が抜け落ち嘆く娘を勇気づけるために自分の髪に駆り上げる母親サラ(キャメロン・ディアス)の頑なまでの愛と覚悟。
そんな母娘を陰日向から見守り支える父親ブライアン(ジェイソン・パトリック)。

バラバラになった家族、本当の絆はそこから始まる。

いきなりキャメロン・ディアスのバリカンで度肝を抜かれ・・・
病気と闘う家族愛。
ケイトのドレスシーン。
娘の真意。

意図的に上げたルーメン(映像の明るさ)の中、家族全員 太陽のように明るく笑顔で振るまっているだけに泣けてくる...実話を基にした感動の作品。

原作とは、かなり印象が違うらしい。


※注)ここから先は、映画のイメージを壊す危険性があるので、この映画が大好きな方と、これから観る予定のある方は ご退室ください。


映画でも存在感が薄かったアナとケイトの兄ジェシーは、実際に兄妹の中で自分だけ存在を無視されがちであったことから、家出や麻薬に手を染める非行少年。
放火の常習でもあり、消防士の父親ブライアンは犯人がジェシーであることに気付くが事件を隠蔽した。
「子供のためならなんでもする」親の闇の部分が見えて来る。

アナは弁護士キャンベルの運転する車に同乗中事故に遭い、救急隊長でもあるブライアンが救助に駆けつけた時には瀕死の状態になっていた。
脳死状態になったアナの腎臓は姉ケイトに移植され、それ以外にも多くの患者へアナの体は提供された。
アナの体は本来の目的を達成し、両親の希望通りになったわけだが、弁護士キャンベルは、罪の意識から何も言えなかっただろう。
腎臓移植は成功とは言い難いものであったが、ケイトは奇跡的に回復し、成人となり今ではバレエの教師を務めている。

奇しくも映画と原作では真逆の運命を辿っている姉と妹…
矛盾を感じる邦題も、原作を知れば納得できる。

現実をすり替え、闇に蓋をして、光の部分にスポットライトを当てることで多くの人々に感動を与えている この映画。
実際私めも良い映画だったと思うし、少なからず感動もした。

方や、病気と闘う家族の苦悩と闇を暴露することで、「子供のためなら何でもする」親の覚悟と現実の厳しさを むきだしにした原作。
読んでは いないが、たぶん私めはこっちの方がハマりそう。

「すごく良い映画観たよ♪」と嬉しそうに私めに勧めてくれ、私めの評価点を「高いじゃん♪」と喜んでいた娘...映画と原作どちらを好むかは明白。

映画も良かったが原作を支持する この気持ちは、親でなければ分からない!