星降る夜にあの場所で

逃亡地帯の星降る夜にあの場所でのレビュー・感想・評価

逃亡地帯(1966年製作の映画)
4.0
石油の魔力でデカダンスに包まれてしまったクレイジーなとある町が、狂乱から狂気に変わる一夜を描いたお話。

その原因となる刑務所を脱走した男をレッドフォードが演じています。
コッポラが脚本を書いた『雨のニューオリンズ』と同年の公開。
翌年公開の『裸足で散歩』同様、本作でもジェーン・フォンダと夫婦役。
またデュヴァルは、GFの前に本作で既に初共演しています。
きちんと絡んでるシーンがあります。

昼に脱走の一報が入り町がざわつきはじめ、夜の乱痴気騒ぎとあいまって収拾が付かない事態へ…
この町でまともなのは保安官夫婦と黒人だけ(一般庶民も含まれるのでしょうが、出てくるのは殆ど成金上がりの家族たち)。

車のスクラップ場で繰り広げられる狂人による地獄絵図。
CGなしのハイライトシーンは凄まじいものがあります。

ネットで書かれている集団によるなんちゃらというより、なんといっても見どころは保安官の立ち位置への嫉妬でしょう。

[マーロン・ブランド]
で、その保安官を演じているのがマーロン・ブランドです。
この役どころは難しい。

優秀であるという理由で、この町を掌握している権力者に可愛がられ保安官に就任。
少なからずその権力者に対して憎しみを抱いています。
ただ、保安官になる前は農民だったらしく、想像では石油発掘絡みで土地を手放したのではないかと…
その事情が明らかにされていないので何とも言えませんが、町の連中はそういった一連の流れを知っているようで、嫉妬からか保安官への風当たりが強い。
そんな状況下で保安官としての任務を全うすることは困難極まりない。
保安官は、もう一度父から受け継いだ土地を自力で取り返したいと切に願っている。

この役柄を演じているわけです。
しかし、彼はマーロン・ブランド。
~悲壮感~を漂わせながらの感情表現は称賛に値し、またプラスアルファとして本作ではがっつりと身体も張ってます。
私の記憶が正しければ、彼が最もボコボコにされた役柄ではなかったかと思います。
顔は腫れ上がり片目が塞がり、来ていたシャツが真っ赤に血で染まってしまいます。
『波止場』でのリンチも凄かったですが、それを遥かに上回るやられようです。
そして本作でも黒人差別が、1テーマとして含まれています。
確か二度ほど保安官が黒人を守るシーンがあったと思います。

久し振りに所有DVDで再鑑賞したい。
調べてみたところ残念ながら、本作も『白く渇いた季節』同様レンタルはビデオのみらしいです…