ねぎおSTOPWAR

クレオパトラのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

クレオパトラ(1963年製作の映画)
4.0
「天才マンキウィッツ監督作にして20世紀FOXを倒産寸前まで追い込んだ映画!」(町山智浩さん)
「三人の女性への招待状」の主人公レックス・ハリソンがシーザー=ユリウス・カエサル役なんですよね!
・・ってことでbluray買ってたんですが、なんせ長い!(251分)ようやく観る気になりました!笑

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アカデミー受賞作品を観よう163(1963年第36回撮影賞/特殊視覚効果賞/美術賞/衣装デザイン賞)
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《映画のこと》
この後書く舞台裏の豪快なエピソードによって正しい評価を受けていない今作。
普通に言って興行成績も抜群でしたし、これだけのセットと人間を使った撮影には感動しかありません!無条件に凄いですよ。

クライマックスはいくつもありますが、ひとつはクレオパトラがローマにやってくる凱旋パレード。東京ディズニーランドのパレードを映画のために作り上げた感じ。当然カメラワークとのタイミングも素晴らしいし、パレードの規模や華麗さを余すことなく伝えています。構図もいい!

全体としてストーリーは史実・・って言ったって紀元前ですからね、確かめようもありませんが、現状残るものには非常に忠実ですね。塩野さんの本、全部はまだ読めていませんがおおよそ符号するかと・・。
ただクレオパトラはローマにとって敵国の将なのでね、ローマが残した記録はマユツバであることは想像に難くないわけで。
確かめようもありませんけどね。

さて演技は、
エリザベス・テイラーの存在感は抜群でしたね!
そしてレックス・ハリソン、ロディ・マクドウォールが良かったですね!一度はジェームズ・スチュアートが候補に挙がったらしいです!

それとちなみに、このイタリア語で語られるべきお話は全て英語です。
名前すら。
シーザーは上にも書きましたがユリウス・カエサル。
アントニーと言われているのはアントニウス。
宿敵になるのはオクタヴィアヌスでこれが後にアウグストゥス(尊厳者)で初代皇帝。

カエサルは本当はこのオクタヴィアヌスを後継に考えていて、側近だったアントニウスが遺産を着服したのでこの二人関係がおかしくなったのが本当だと思いますけどね。
このあたり映画では上手に時間を飛ばし、愛の物語にしていました。


《舞台裏のこと》
製作費4400万ドル!(今の貨幣価値だと4億ドル!)
確かに20世紀FOXは傾いたんでしょうけど、既にビデオ化権などで利益出ているらしいです。
当時何がいけなかったかって、なんかマンキウィッツ監督のせいだと言う人もいますが、晴れたローマの話なのにロンドンのパインウッドスタジオで撮れ!と命じたFOX上層部が問題。
さらに破格の条件100万ドル+延長週5万ドルでエリザベス・テイラーと契約しちゃった上層部が問題。

ロンドンにあのローマの街のセット60万ドルで建てたのに、エリザベス・テイラーが病気で死の縁を彷徨うこと一年の間建ち続け無駄に終わったそうです。復帰してからローマにセットを作り直し!
この時テイラー、気管を切開する手術受けたんですって。どうりで本編中に喉のあたり傷があるなあと気になったんですよねー。

さらに、キャストが、監督がチェンジしてからのトラブルはスキャンダル!
テイラーとアントニウス役のリチャード・バートンは双方家庭があるのに不倫関係を公表!監督はFOXに警告したそうですが、なんとカットがかかってもキスをやめないって言うんだから!笑
バチカンまで彼女を批判するようなとんでもない事態で、バートンは兄弟に殴られて、テイラーはバートンに殴られて、アザが消えるまで撮影中止。
バートンは共演相手と寝る役者で有名らしいですね。まーこのあと二人はそれぞれ離婚して結ばれますが、後に離婚しています。

マンキウィッツ監督の功績はこの作品にそれぞれキャラクターの深みをもたせ作り上げたこと。しかし5時間に及んだため復帰のザナック新社長は監督を解雇!そのあと復帰するも、公開は3時間15分ですって。結局今観られるのは(このblurayは)4時間バージョン。

なんだか騒々しい映画ですが、是非一度ご覧ください!