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大地のうたのsonozyのレビュー・感想・評価

大地のうた(1955年製作の映画)
4.0
インドの巨匠サタジット・レイ監督の処女作。
(原題/英題: Pather Panchali / Song of the Little Road)
ベンガル地方の小さな村に住む極貧の一家の悲惨な運命を描き、主人公の少年オプーの成長を追った続編『大河のうた」『大樹のうた』と併せ〈オプー三部作〉と呼ばれる。

オプーは姉ドゥルガ、両親、居候している伯母(老婆)とボロ屋に暮らし、姉と徒歩で学校に通っている。

ドゥルガはいつも隣家(地主)の果樹園(元は家族のものだった)から果実を盗み伯母に渡していて、盗人一家呼ばわりされている。

その地主の仕事を得た父は安い給料を数ヶ月も貰えていないが、詩や戯曲の執筆で稼げるようになるとどこか現実離れしてタバコばかりくゆらせている。

稼がない夫、盗人呼ばわりされる娘、一日三食もままならない僅かな米や芋の食事、少額の借金も返せず、子供の服すらなかなか買えない極貧生活に耐え悲嘆に暮れる母は、つい娘に厳しく当たり、居候の伯母には早く出て行けと罵倒してしまう。

そんな中、夫はある男から頼み事をされ、ついでに稼いでくると言い残し1週間程度の予定で街へ出かける。
だが、1通の手紙が届いたきり5ヶ月も音沙汰がなくなってしまう。

大地を抜け、ドゥルガの後について走る汽車を見に行くイプー。
突然の土砂降りの中、長い髪をほどき踊るドゥルガ。
森の中に座り込んでいた伯母。
雨に打たれ熱に倒れるドゥルガ。
激しい嵐に耐えきれないボロ家。。
何も知らない父からやっと希望の手紙が届くが・・・

監督が広告代理店のアート・ディレクター時代に挿画を描いたビブティブション・ボンドパッダエの自伝的小説『ポテル・パンチャリPather Panchali(道の物語 ※本作の原題)』を元にした映画製作を思い立ち、『河(1950)』の撮影でインドを訪れていたジャン・ルノアールにも励まされ、私財を投げ打って52年から55年までかかって完成させたという本作。

救いのない極貧の日々、生と死…
幼い少年イプーの純粋な瞳に胸を打たれます。

インド年間最優秀作品賞
カンヌ国際映画祭: 特別賞(Best Human Document)ほか

※DVDの画質が酷いので、criterion channelのレストア版(英語字幕)にて。
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