Omizu

大地のうたのOmizuのレビュー・感想・評価

大地のうた(1955年製作の映画)
4.5
【1966年キネマ旬報外国映画ベストテン 第1位】
インドのサタジット・レイ監督の「大地のうた」三部作の一作目。カンヌ映画祭ではヒューマン・ドキュメント賞を受賞した。

素晴らしい。サタジット・レイ作品はこれが初めてであるが、非常に強烈に印象づけられた作品になった。流麗な撮影と語り口、人間をしっかりと映したストーリーテリングに酔いしれる。

作家志望の聖職者である父、文句を言いつつも支える母、唯一の理解者である姉と暮らすオプー。彼の青春時代の痛みを切り取ったような作品。

オプーが中心ではあるが、家族、特に母と姉に力をいれて描いているように思える。貧乏で首が回らない田舎の家族、彼らの生きる道を割と辛辣に描いている。

父はいい人だけど頼りないし母は怒ってばかり、そんな家族に降りかかる悲劇を痛々しく描いている。首飾りをめぐる描写が印象的だったな。

最後に蛇がするっと家の中へ入っていく。どんなに苦しくてもそこに自然は息づいているし、人間は生きていかなければならない。

これまでサタジット・レイ作品を観てこなかったのが後悔しかない。三部作ということで『大河のうた』『大樹のうた』も観ていこう。これは世界で評価されるのも納得の傑作。
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