タロウ

激突!のタロウのネタバレレビュー・内容・結末

激突!(1971年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

『Duel/激突!』


ただの一度、追い越したのが全ての始まりだった___
こちらをあざ笑うかのように、前に出たり先へ行かせたり、一向に目的の読めないこのドデカいタンクローリー。しつこく突っかかってくるこのデカブツに苛立ちを感じていたデイビット(演: デニス・ウィーバー)だったが、「望むところだ」と次第に対抗心が芽生えて、、


 あおり運転とか、車トラブルを扱った映画がどれくらいあるか分からないけれど、今作がその原点だったりするのかな?この映画が作られた頃、あおり運転っていう概念があったかは分からない。けれど今作で描かれるトラブルは、近頃ニュースでもよく目にするいわゆる「あおり運転」のそれ。約50年も前にこんな映画が作られていたと思うと、なんだか不思議というか、どうやって思いついたんですか?ってとりあえずスピルバーグに聞いてみたい。

 全く考えの読めないタンクローリーの運転手の姿が最後まで分からない、というのも斬新。急に先を行かせたと思ったら、もくもく煙を吐き出しながら猛スピードで迫ってきたり、先に行ったと思えば必ず待ち伏せしていて赤い車がくるのをよだれを垂らして待っているかのよう。相当短気なヤツなのか?それとも嫌なことが立て続けに起きててイライラしてたとこでデイビットの追い越しをくらったからなのか??はたまた、暇つぶしがてらゲーム感覚でデイビットを巻き込んだのか???正体が分からないから、見てるこちらの想像でしか犯人をイメージするしかない。んー読めない、、笑

 デイビットの心理描写も丁寧に描かれていたのがよかった。突如として追われる恐怖が、そうはいかないぞと勝ち気になって対抗心に変わったと思えば、執拗につきまとわれることでまた恐怖心に変わって、、ってもうコイツからは逃れられないんじゃないかと見てるこちらにも思わせるような目まぐるしい心情の変化が描かれていた。その中でも、カフェのシーンは印象的。あの状況だったらそりゃここにアイツもいるって思っちゃうのは分かる。判断材料は、最初のガソリンスタンドで見た靴とジーパンしかないから、曖昧な判断にもなってしまう。不確かな情報だけで物事を判断してしまう危うさは、この映画が生まれた時代以上に今の世界において生まれやすくなっているだろうし、そういう意味ではこの映画は単なるパニックムービーではなく、この世界を生きていく上で重要なメッセージを伝える映画だと思う。

memo
・ラジエータホースの伏線、ちょっとシビれた
・ヘビとかトカゲ飼ってたおばちゃんがただただ可哀想、、あそこでタンクローリー運転手が、いよいよ仕留めに来た!って思うほどの暴走っぷりは見応えあった。あ、コイツほんとにヤバいヤツだっていう
・ラストはド迫力、けどなんか切ない。終わるときは一瞬なんだな
タロウ

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