ふぇいるくん

激突!のふぇいるくんのレビュー・感想・評価

激突!(1971年製作の映画)
4.0
映画業界を志す人なら当然観ているであろう「激突」ですが、右観ても左観てもくだらない映画が氾濫する昨今からすると、もう誰も「激突」は観てない、という事なのでしょうか。

一見ヒッチコック風のサスペンス、しかしながら喪失した男性性を回復すべく奮闘する一人の男の男泣きアクション映画の側面もあり、筋立てがシンプルな分、多様な解釈を観客にゆだねるという知的な作品でもあります。

監督のスピルバーグは確かに天才かもしれませんが、映画としてやるべきことをきちんとやり、やらなくていい事はやらない、という実にシンプルで地道な姿勢こそが、この作品の成功とその後の輝かしいフィルモグラフィにつながっていることを感じさせてくれる傑作です。