青野姦太郎

酔いどれ博士の青野姦太郎のレビュー・感想・評価

酔いどれ博士(1966年製作の映画)
4.2
思わず『赤ひげ』と口に出したくなるところだが、ひねくれ者なので『太陽の墓場』あるいは『とんかつ大将』と呟いてみる。いずれもこの映画を見てふと想起した作品である。三隅のスタイルはかなり透明化されていて、喜劇的なアクションの中に僅かに垣間見えるくらい。それよりも役者陣が良い。勝新太郎は言うまでもなく、東野英治郎やミヤコ蝶々がいつものようにそこにいて、いつものように素晴らしい。前年公開の『座頭市二段斬り』に引き続いて幼き日の小林幸子が出ているが、そのか細い背中を勝がそっと叩いて診断してやるシーンなどちょっと涙無しには見られない。