ReoSakamoto

ダイヤルMを廻せ!のReoSakamotoのレビュー・感想・評価

ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)
4.1
序盤から殺人トリックが明かされた上で、いかに思惑通りに実行し証拠隠滅していくかを見守るわけですが、
途中で計画に狂いが生じ予定調和とはいかなくなる。

観客は冷や冷やしながらつい悪役に同情し応援に回ってしまう、ヒッチコックの狙い通りの心理状態に持っていかれます。
どの登場人物よりも悪役が魅力に映るように演出された見事な手腕、この作品が面白く感じる大きな要因だと思う。

50年代にテレビの流行で遠退いた客足を取り戻すべく、映画産業で取り入れたワイドスクリーンや3D技術。
元は舞台劇として成功したものを映画化したこの作品も、当時3D上映されたそう。
しかし、さすがのヒッチコックです。。
なんでもかんでも飛び出して観客をアッと言わせるような小手先な3D映画ではなく、本作では極力奥行きを生む視覚的効果に抑え、ここぞという場面のみ”飛び出す”演出を取り入れたよう。粋です。。

3D上映されたことを知らず観ていたので、DVD鑑賞中にインターミッションが挟まり、あれ?と思いましたが、なるほどそんな背景があったのかと納得しました。
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