昼行灯

卑弥呼の昼行灯のレビュー・感想・評価

卑弥呼(1974年製作の映画)
3.8
待ってマジで面白映画で笑う 前衛は前衛だけど爆笑する方の前衛←何?

武満徹の音楽と土方巽の暗黒舞踏(←これ、元祖暗黒微笑だろ)と粟津潔の美術とかいうもうアングラをやるしかないだろみたいな布陣、加えて個人的に真似したくなるような白塗り眉毛全剃りシャーマン岩下志麻。

武満徹の音楽は終始反響を意識してて、神聖かつ不気味さを演出してた。ラストシーンで少しポップな現代音楽に傾いたのが、メタすぎるズームアウトの前触れだったのが見事だと思った。というか、ラストシーンはすごすぎる。ズームアウトがいつまで続くのかと思ったら、予想外過ぎた。初めは死んだ卑弥呼とか神の視点なのかと思ってたけど、われわれの視点なのかよと。その後もカメラはぐるぐる回り続けて、箸墓古墳どころか大仙古墳などあらゆる古墳を映し続けていたのが自分にウケた。なんでもありやんか

結局なんだったのかよく分からなかったけど、暗黒舞踏の者たちは格好の気持ち悪さもおぞましいんだけど、踊りとか所作にも意味を見いだせなくてどこに向かっているのかも分からなくて怖かった、、(暗黒微笑)(言いたいだけ)

粟津潔の朱色もほとんど無彩色の室内に効いていた。屋外の緑の補色にもなっていて、卑弥呼を初めとするシャーマンの異質性が強調されていたように思う。というか、ほとんど白で構成された平面的かつ無機質な室内のデザインは、鹿のいる森だったり、カルデラ?のある山地だったり、または太陽など有機的な屋外と対比を測っているように思えた。卑弥呼は太陽の声を効いて政をしようとしているけど、政は人為的なものに過ぎないため、結局人為的な色恋に邪魔されて、自然とは相容れないということを示しているのだろう。

この物語、結局卑弥呼の嫉妬が原因で国が終わってるのが1番の面白ポイントですね…タケヒコが不義の罰として痛めつけられてる時に、その叫び声に呼応するかのように周りで乱交が起こっていて、さらにそれを柱の影から冷ややかな顔で見つめる卑弥呼がウザすぎる。お前が誘った恋やがな。綺麗に整えられた白砂がタケヒコの動きで乱れるのが、タケヒコの苦悶や、それ以外でも神が憑依した時の卑弥呼の動きの激しさを表す演出としてよかった。
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