制作された年が1970年。
ヒッピーにバイク。
そして、邦題タイトル。
どう好意的に受け止めようとしても、
あのアメリカンニューシネマの先駆けであり名作と言われる、
『イージー・ライダー』(1969)の二番煎じ作品と思われても仕方ないだろう。
低予算で無軌道なバイク乗りの若者が主人公というところだけは共通しているけれども、作品のベクトルは全く別方向を向いている作品だ。
この時期にわざわざ
アンチ“アメリカンニューシネマ”ともいえなくもない内容の作品を作ったところに、映画屋の根性が垣間見えて面白かった。
この時期アメリカ映画を席巻していた、
典型的なアメリカンニューシネマの主人公たちと違い、
この主人公はいたって真面目な人物。
(主演はアメリカンフットボールのスターだったジョー・ネイマス)
主人公だけでなく、周りの人物もいい奴なんじゃないかななんて思わせる。
小悪党はいるものの、それもまあ可愛いもの。
アメリカンニューシネマの一つのパターンである、
世間から裏切られて、
アンハッピーエンドを迎えることもなく、
愛する恋人と逃避行し、
ハッピーエンドを暗示させる。
この時代に最先端を行っていたニューシネマのまるで逆を行くことで、
今の時代になってその存在価値が高まることになった(んじゃないかな)。
でも、
褒めまくっていますが、
決してこの作品が上出来なわけでも名作なわけでもない。
オープニングの万引きシーン(ここは秀逸)やモトクロスのレースシーン、主人公のラブシーンやダンスシーンなど、
その映像センスが個人的にとても気に入っているだけです。
脚本はユルユルだし、
ヒロイン、アン・マーグレット以外の演者の演技が拙いこと、
いかにも安手のロケ中心の映像や雑な編集などのため、
盛り上がるべきシーンが盛り上がらず、
サスペンスシーンも気が抜けたような感じになってしまうので、
仕上がりとしては残念です。
でもポンコツだけど頑張っているので好きな作品です。
撮影もきっと楽しかっただろうと思います。
変な作家主義に陥らず、
無邪気に観客を楽しませようとする姿勢に好感が持てますね。
あ、
音楽がいいですよ。
特に『I can't Turn You ou Loose』なんかが流れてきたりして、
ゴキゲンになれる!
『ブルーズ・ブラザース』でのこの曲の方が有名かもしれないけど・・・