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コララインとボタンの魔女のJIZEのレビュー・感想・評価

コララインとボタンの魔女(2009年製作の映画)
3.4
賛:パラレルのボヤけた設定が夢の具現化をシニカルに象徴していて面白い。質感はゴシック調でダークファンタジーの世界観。大人向けホラー映画の感触である。退屈でつまらない現実ともう一つの明るくて楽しい真反対な世界を縦軸に置きながらも人間の持つ深層心理を浮かび上がらせる。ただ,カラフルに彩られた世界の裏側には底無しの落とし穴があり理想郷を揶揄するダークな後味を残した。音楽の不気味さと不思議調な音色が併さるのも癖になる。

否:全編にジメジメまとわり付くような魔女のトラウマ級のどぎついビジュアルに戦慄し恐怖する。おもに目がボタンで形成されてたり姿形も何形態かあるためクライマックス辺りの容姿は化け物だった。あとロケーションがほぼ家内のワンシチュエーションで展開されるので絵変わりの無さや映像が行ったり来たりで反復している既視感は否めないだろう。

本作はスタジオライカの長編第1弾という事でも超ダークな脚本やキャラ造形の歪な繊細なりかなり暗めのホラー作品ではないだろうか。退屈な毎日にうんざりしている少女がある日もう一つの世界に通じる小さな扉を見つけるプロットも等身大で見た成長をベースに異空間に飛ぶ冒険要素が練り込まれている。それこそ自分の親がもし別の何かになってしまったら…という根源的な恐怖を描いている。子供にとってはかなり怖い長編アニメ映画に感じました。
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