HidekiIshimoto

ロビンソンの庭のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

ロビンソンの庭(1987年製作の映画)
4.5
むかーし観て、何か危険な映画を観た…という強烈な印象以外は内容もほぼ忘れてた。危険感は主に色白で坊主頭の、少年なんだか何だかよくわからない異様な男から放射されていて、それが町田町蔵との出会いだった。町田康になってから好きになったけど、それまでは正直ちょっと怖かった。今観れば序盤のハッピー感にアレ?怖くない…と思ったのも束の間、ジワジワ怖くなってきて、今観てもやっぱり怖い町蔵。それ以外の役者なのか何なのかよくわからない人達も小学生の餓鬼も、みんな狂っててみんな危ない。けどほんとの危険感を放射能のように放ってたのは狂人達も静かに呑み込む自然だった。こんな禍々しい自然はラースの『アンチクライスト』でしか観たことないネイチャーホラー感。物語も何となくアンチクライスト化していく。けどこの禍々しさこそこの映画の面白さ。早々とラースに先手とは山本政志天才か。頓挫した南方熊楠伝記映画も、この自然の魔から描かれたとしたら惜しすぎる。