「人は皆孤独である」
ラストに集約させた美しく微笑ましくも、あまりにも悲しい作品だった。
主人公がまだほんの子供で、彼の視点から進展する物語は暖かく、目に新しい物への不安と興味に溢れていて微笑ましい。
自身にも、蝶の舌に関心を寄せるような幼い好奇心があったのだと懐かしく思った。
少年は先生から繊細で優しい世界を教わり、友達とともに大人の世界の汚さと残酷さを目の当たりにした。それら全てが成長するという過程なのだ。
自由なスペインをという先生は間違っていないだろうに、優しい世界を教えてくれた先生は犯罪者じゃないのに。
幼心には本当に理解できないだろう。
ラストに少年が母に言われて発した、罵る言葉と先生が教えてくれた「蝶の舌」が同時に発されているのが証明している。
ラストになるにつれて、悲しみに暮れてゆきつつも美しさを失わない。
これが現実だと囁くような、切ない映画だった。