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ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのAbeCinemaTVのレビュー・感想・評価

3.9
ちょうど子供の精神医学に関する本を読み終えたところだったので、アスペルガー症候群の子供が主人公という映画だったのは個人的にめちゃくちゃタイムリーだった。(だから選んだわけではない)。しかも「めぐりあう時間たち」「愛を読むひと」は好き嫌い分かれるだろうとは思いつつ、好きな作品なので同じスティーヴン・ダルドリー監督ということで楽しみにして、見返してみた。

結論、見れる!が、見れる、っていう感じかなあ。確かに感動はある。主人公を演じるトーマスホーン(その後全然出てないみたいだけど)も才気を感じる。が、トムハンクスとの間にあるドラマもやや単調だし、サンドラブロックもまあもちろん素晴らしいんだけど、どうしてもアスペルガー症候群の主人公目線で描くと不安定さが際立ってしまい、もう少しいろんな面を見せて欲しかった気がする。一方マックスヴォンシドーは最大限力を発揮していると僕がいうのは烏滸がましいが、主人公との関係性が最もドラマティックということもありいい存在感だった。

ただアスペルガー症候群を描くという点では、かなり正確なように感じた。とにかく社会的な関係を築くのが本当に難しい。相手目線で考えるということが極端に苦手で、自分と相手の二者、しかも自分から相手という関係でしか関係を築きにくいというのが、映画でもそういうシーンの連続で、そもそも3人以上が出てくるシーンが少ないという点からもよく表現されている。
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