さや

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのさやのレビュー・感想・評価

4.0
全く前情報なく見始めたので、まさかの9.11の話で衝撃を受けました。
基本的には、突然大好きな父親を亡くした息子が、問題を解決しながら乗り越えていく映画なのですが、ところどころ出てくる9.11の映像やストーリーに、心が痛みました。
あのときを思い出してしまったな…

当事者ではない私でさえも、あの日の衝撃はよく覚えているのに、実際に大切な人を失った人たちが、どんなに辛い思いをしたのか、そしてそれをどうやって乗り越えていったのか。本当に身に沁みて感じました。

トム・ハンクス演じる父親がとても魅力的で、だからこそ失った家族の痛みが大きくて。
電話の向こうで確かに生きているのに、手が届かなくて助けられない、何もできない、そんな思いは辛すぎる…

主人公である息子オスカーは、そんな気持ちを抱えながら、父親に近づきたい一心で、沢山の人と交流を持っていく。
オスカー自身、アスペルガー症候群の検査を受ける(診断はされていないが)ほど、人と接するのが苦手で、大きな音や様々苦手な環境があるけれど、それを乗り越えても成功したい、しなければいけないという、強い想いを持っている。

映画の最後にわかるのだけど、そんな息子をそっと見つめて支えている母親が、自分の理解者であると気付いて、本心をさらけ出すことができるようになったのは、最期の父の教えだったのか…

大切な人を失う悲しみは、やはり人でしか癒せない、そしてNYという街は、あのとんでもない事件を通して、特別な繋がりを作ったのだ、誰も望んではいなかったけれど。

二度とこんなことが起こらないようにと願うけれど、ウクライナでは今この瞬間にも戦争が行われ、沢山の人が亡くなっている…一体人間とは…
さや

さや