イクミナ

この空の花 長岡花火物語のイクミナのレビュー・感想・評価

この空の花 長岡花火物語(2012年製作の映画)
2.0
ビデオエッセイみたいな映画。
一輪車で女子高生が土手の向こうに行く映像やとうじょうじんぶつがカメラ目線で語りかけてきたり、ハッとするカットはあるけれど、反戦、反戦のセリフの連呼、フクシマの原発事故や、しかしこれって、北朝鮮のマスゲーム、紅衛兵の劇みたいで、国威発揚のような高揚感だなとおもった。花火の作りが原爆と同じようだって?むかしNHKの対談で原爆のきのこ雲が美しかったと言ったら、オリバー・ストーンに「あなたは、偽善者だ」と言われたことを根に持っての表現だったのかしら?本当の反戦をえがくのであれば、やはり天皇の戦争責任を問わなければ、映画で描かれる反戦は、お題目だけの空疎なものになるとおもう、黒木和雄の作品には、根底に天皇批判があると思う。
ご当地ということで山本五十六を賛美しているが、内海信彦さんのFacebookより「ミッドウェー海戦敗北時の山本五十六は、幾度となく映画化され本にも書かれてきました。最後まで日米開戦に反対した山本五十六は、概して悲劇的な英雄として描かれてきました。しかしながら山本五十六は、空母4隻喪失という大敗北の報を聞き「ほう、またやられたか」と呟きながら将棋を続け、「南雲、草鹿を責めるな」と無能な幕僚を庇い、「屍に鞭打つ必要なし」として責任追及と敗因研究を封殺しました。
 海軍という日本的無責任システムの頂点にあった山本は、温情溢れる山本として美談に仕立て上げられました。しかしながら、山本をはじめ海軍首脳はミッドウェーから生還した多くの兵卒と下士官を長期間監禁し、家族に会わせることもなく、再び生きて帰れない最前線に送り出して口を封じたのです。
 ミッドウェー海戦の大敗北が隠蔽され、ありもしない大戦果を捏造して、NHKが放送する大本営発表に大多数の国民が熱狂するという状況は、福島原発事故後の日本に酷似しています。この国は、二度と過去の過ちを繰り返さないことを世界に宣言してきましたが、否定してきた過去に急接近し、愚かしい過去を再現しています。
 過去とのアナロジーには注意が必要ですが、福島原発事故後、崩壊に向かっているこの国の現況は、ミッドウェー海戦の大敗北を、講和や戦争終結のきっかけとすることができなかった局面によく似ていると思えてなりません。
 私は山本五十六が「隠れユダヤ」(ナチの常套句です)だとか「国際フリーメーソン」(これナチズムです)だったとか全く言ってませんし、
噴飯ものの陰謀史観の典型『わざと負けた論』などに一切合意しません。」
イクミナ

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