考えるな、感じろ。
「我々は知っていることよりも、 知らないことの方が遥かに多い」

人間の持つ可能性をテーマに製作され、ユリ・ゲラーが話題になったのを機に全国で見出された、「超能力少年・少女」たちの1人、70～80年代にかけて「エスパー清田」の名で一世を風靡した清田益章を追った超能力映画。

史上初のSFXを超越した作品とされるトリッキーな珍作を渋谷フィルムコレクションにてVHSでレンタル。特別ゲストに世界的巨匠・大島渚監督を迎え、エスパー清田が彼を前に念写を行い、対談する様は大変貴重だった。

念写は成功し、大島監督が「お見事」と拍手をしながら淡々と褒める。さすがの大島監督はエスパー清田に「どうしてエッフェル塔の念写は全体像なのに私のは拡大された写真なのか」など、あれこれと突っ込んだ質問を投げかける。

イメージを具現化し定着化することは映画を作ることと似ていると話す2人。妖しく光る暗闇の中で行われる朗らかな対談は楽しかった。

物事を言葉ではなくイメージで考え、一瞬のイメージを焼き付けるというエスパー清田の集中力は相当なもので、息遣いだけが聞こえる静寂に包まれた薄暗い映像にこちらまで息が止まるような緊張感。

嘘か本当かどうかは置いておいて、林海象監督の実験的な映像と、エスパー清田のスプーンや金属曲げ、念写のシーンが溢れる芸術的な作品だった。

大島渚監督