もとまち

憐 Renのもとまちのレビュー・感想・評価

憐 Ren(2008年製作の映画)
3.8
不可解な空気感の中で、グラグラ揺れ続ける彼彼女らの日常。ずっと裏で不協和音が鳴り響いてる。自転車を漕いでるそのすぐそばでは事故った車が横倒しになり、繰り返されるバスケットボールは首吊り自殺によって終わりを迎える。空虚なモラトリアムにべっとりと纏わりつく死の影を、妙に飄々とした演出で描き出す堀禎一。大人しいのか挑発的なのか、マジで何考えてるのか分からなくて恐ろしい。一秒先に何が起こるのかすら全く予想出来ず、得体の知れない予感だけが画面を支配し続ける。映像作家ってコレが出来てしまったらもう勝ちな所あるよね。未来人とか刻のナイフとかワケワカメなSF設定も全部浮いていて、ラストでどうでもいいとばかりに真相が全部吐き出される。しかも気の遠くなるような長回しと長台詞で。衝撃的な種明かしのはずが、逆に観客を突き放してしまう映画なんてそうそう無い。とんでもねえ怪作。
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