ヴレア

マトリックスのヴレアのレビュー・感想・評価

マトリックス(1999年製作の映画)
4.7
「マトリックス」を観て
           6年○組 ヴレア

最初観た時はとても不思議な内容で、あまり理解する事が出来ませんでした。
友達と一緒に今は無き映画館で観ましたが、当時はまだシネコンではなく普通に一つしかスクリーンの無い大きな映画館でした。今考えて観ればスクリーンが一つしかないという事は一日中「マトリックス」だけを上映する映画館だった訳で、それでちゃんと経営が成り立っていたのだから凄いなぁと思いました。座席数もかなり多く2階席までありました。2階席はいつも開放されている訳ではなく、特別な時にしか入れないので憧れがありましたが、実際に座ってみると遠いし、かなり見下ろす感じになるので見辛かったです。
それから、シネコンと違って入れ替え制ではないので1回入ってしまえばそのまま同じ料金で何回もループして観られるというのが利点でした。
しかし、連続で同じ作品を観たのは後にも先にも「マトリックス」だけでした。
1回観ただけでは理解不能だったので、友達とこれはもう1回観ようという事になって、気付いたらそのまま観ていました。凄い集中力だったと思います。

さて、映画の内容に入る前に長くなってしまいましたが、2回観た事によって結構分かった気になりました。
とにかく大事なのは“マトリックス“とは何なのかという事ですね。
説明しましょう。マトリックスとは今私達が住んでいる現実の事なのです。
この現実はマトリックスというコンピュータが作った世界らしいのです。
何故、コンピュータがそんな事をしているかというと、人間を栽培してエネルギーを得ているからです。つまり人間は電池と同じ役割なのです。そこで生まれた人間はケーブルに繋がれていて、一生目覚める事がなく、嘘の現実=マトリックスを見させられているという訳です。これを知った時はとても怖い話だなと思いました。今私達が現実だと思っているこの世界ももしかしたらマトリックスなのかもしれません。信じるか信じないかはあなた次第です。

マトリックスの正体が分かった所でこの映画の目的は何なのかというと、多分ですが…人間がコンピュータと戦って世界を取り戻す!という事になると思います。
その為にネオ達はマトリックスに侵入してタモリみたいなおじさんと戦います。このタモリさんは複数居て、何回倒しても蘇るし、めちゃくちゃ強いのでとても厄介な敵です。
それに対抗する為、ネオ達は事前にコンピュータを使って訓練プログラムで戦いの練習をしています。コンピュータを倒すのが目的なのにコンピュータに頼らざるを得ないというのはなんか皮肉みたいで面白いなと思いました。

その訓練というのは柔術だったりカンフーだったり、色んな武術をプログラミングされ、日本の道場みたいな所でモーフィアスという人と特訓する場面があって、とても面白いです。
武術指導にユエン・ウーピンという人を起用していて、ワイヤーアクションをハリウッド映画で使うというのも新鮮でした。
また、様々な映画からインスパイアされている事でも有名で、冒頭の緑の文字がザザーっと出てくるのは「攻殻機動隊」からです。あと、培養液に入れられた人やプラグを刺して電脳空間に入る所やスイカを銃で撃つ所などもそうです。
それから、ロングコートにグラサンという格好で2丁拳銃で撃ちまくり、弾が切れたら銃を投げ、また新たな銃を持ち、スローモーションでアクロバティックにくるくると動き回るのはジョン・ウー監督の影響です。
他にも「AKIRA」やブルース・リーなどの影響も受けているみたいです。
SF映画なのにそういう異色な取り合わせがうまくはまった事でこれだけの面白い作品になったのではないかと思いました。

また、撮影方法でもバレットタイムという技法が使われていて、カメラは普通に動いているのに被写体だけがスローモーションで動いているように見えるという不思議な映像になっていて、これによって弾丸を物凄い速さで避けているというのを上手く表現していたと思いました。ネオがイナバウアーみたいに体を仰け反らせる独特なポーズのあれですね。誰もが一度は真似をして腰を痛めてしまった苦い経験があるのではないでしょうか。

最後に、この作品は壮大なSFアクション大作ながらも人間の欲望や葛藤や希望や愛というものがしっかりと描かれているからこそ、とても深みのある作品になったのではないかと思いました。現実が必ずしも幸せとは限らず、現実を受け入れられずにマトリックスの世界に戻ろうとする人なんかも居て、知らないほうが幸せなのか、やっぱり現実に立ち向かうべきなのかとか色んな事を考えさせられたので面白かったです。
私もいつかモーフィアスという人に会うことがあって青か赤のカプセルを飲めと言われた時は、絶対赤いカプセルを飲んで人類の為に戦いたいなと思いました。
ヴレア

ヴレア