柏エシディシ

マトリックスの柏エシディシのレビュー・感想・評価

マトリックス(1999年製作の映画)
4.0
20周年ですってよ……おそろしい。つい最近の映画のつもりだった
公開時、渋谷パンテオンで観たなぁ……などとしみじみ。この度はドルビーシネマで。

リアルタイムで観た時はそりゃ興奮しましたよ。たぶん一週間に3回ぐらい観に行ったはず。
ナルホド、今観てもよぉく出来ている。
それまでは一部のオタクの慰みものに過ぎなかったサイバーパンク的世界観を武侠アクションとマッシュアップしつつ、ハリウッドのスタジオシステムの枠内でマス向けで洗練された作品に仕上げている。

今や当たり前になった感のある、コミックやグラフィックノベルの一枚絵のケレン味をそのままリアルアクションで臆面もなくやり切ってしまった最初の作品かも。
パロディや引用に枚挙に暇の無い「バレットタイム」も、20年の時代の流れで、やはり、ちょっと気恥ずかしさが今や漂う。それも御愛嬌。

レイジのWake Upの轟きが、当時の閉塞感の漂う時代感と、爆発的なネットワークの推進とグロバーリズムの拡大の予感を思い出させたりもしたり。
そうそう、フィンチャーの「ファイトクラブ」公開もこの年。
そういう時代の空気感ともマッチしたのも本作のメガヒットの背景にも確実にある。
その後、911があったり、コロンバインの銃乱射事件があり。
新たな世界へ容易に手が届く事が出来る様になった私たちが、その先にあるものが、呵責無いだだっ広い荒野である事も大いに思い知った20年間でもあったなぁ、と。

本作の大いなる蛇足に過ぎない続編2本がまったく魅力のない作品になっているのも、そういった事象とは無縁ではないし、製作が噂される「4作目」も、今の時代に作る意義が果たしてあるのだろうかと疑問に思わないでも無いのです。

ネガティブな振り返りになってますが、映画史に残した影響力や、文字通り身体を張ったパフォーマンスを見せるキャスト陣、ペキンパー以来の伝統にも即したアクション演出、アイデアや寓意に溢れたストーリーテリング。やはり偉大な作品だと思いますので、このスコア
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