えいこ

隠し砦の三悪人のえいこのレビュー・感想・評価

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)
4.9
完全に黒澤×三船にはまってしまいました。いやもうカッコよすぎるわ。

ダイナミックな槍での殺陣はもちろん、本作では騎乗でのアクションに感服。崖を駆け下りたり、山道を疾走するだけでも格好良いのに、疾走しながら娘を抱え上げたり、両手で刀を振り上げて、駆けてくる騎上の敵を次々切って落とす…迫力がとにかく凄い。三船敏郎だけでなく、姫役の上原美佐も、なんなら馬に乗る役者さんたちすべて乗りこなし方が板についている。馬の数も多いが、人の数も半端ない。城での戦の人の波、火祭りの踊りの輪…効果音も相まって緊迫感がリアルに伝わる。

三船敏郎演じる真壁六郎太は、侍大将だけにコミカルな要素は少なく、破れた身なりの中に知力胆力を感じさせる。コミカルな部分を一手に担うのが、太平と又七の百姓コンビ。訳のわからないまま巻き込まれていく彼らの行動が、ハラハラドキドキと笑いを誘い、最後まで飽きさせない。六郎太の忠義、姫の覚悟、兵衛の矜持など、人間ドラマとしても魅力的。兵衛にかける姫の言葉に涙した。終盤、馬に乗って駆けていく雪姫にナウシカを思った。まさに大将の器。素敵な姫。
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