Tラモーン

隠し砦の三悪人のTラモーンのレビュー・感想・評価

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)
3.8
昨日の『七人の侍』に続けて黒澤明を!


戦国時代。山名vs秋月の合戦に褒賞を求めて参加した百姓の太平(千秋実)と又七(藤原釜足)は何の戦果も挙げられず、敗戦国秋月の雑兵として山名兵に捕えられていた。秋月兵たちの脱走騒ぎに乗じて逃げ出した2人は、偶然にも秋月の家紋の入った金の延棒を見つける。そこへ現れた屈強な秋月の侍大将・真壁六郎太(三船敏郎)。六郎太は金二百貫を、秋月の同盟国早川へ持ち出す仕事を依頼する。その旅に同行する口の聞けない少女は実は秋月の雪姫(上原美佐)だったー。


噂には聞いていたけど、冒頭からめちゃくちゃスターウォーズep4だった。
なんにもないところを太平と又七がブチブチ言いながら歩いているシーンは完全にタトゥーインのC-3POとR2-D2だった。この欲望丸出しの百姓2人の天丼な掛け合いが面白くて、「仲良くやろうぜ」「俺のもんだ!」「なんだてめぇ!」「仲良くやろうぜ」を一生繰り返してる。

2人が逃げ出す暴動のシーンどうやって撮ったんだろ。というかCGもないんだから本当にあの規模の暴動やって撮影したんだよな…。ヤバい。

そして相変わらず三船敏郎の存在感と勇ましさは流石。登場からして顔面力が強すぎて、最初身分隠してたけどあんなん絶対めちゃくちゃ強い武士やろ。
馬術も凄まじいけど、今作で印象的だったのは田所兵衛との槍での一騎打ち。一発で決まってしまう名人同士の戦いであることがビリビリ伝わってくる緊張感。あの鍔迫り合いや、徐々に徐々に場所を変えて回りながら、周囲の物を活かして戦うのは完全にスターウォーズのライトセーバーのシーンに影響してるなと納得。
旧知の仲である兵衛にトドメを刺さず、「また会おう(ニカッ!」と去っていく三船敏郎のイケメンぷり。ここが後々の伏線になっているのも熱い。

対する雪姫の男勝りっぷりも完全にレイア姫の元ネタ。かなり強めの眉毛を差し引いてもとてもお美しい上原美佐なんだけども、とにかく演技が酷い。一本調子にも程がある。彼女の演技だけが終始とにかく残念。
ただし、ラスト前の脱出シーンで馬に乗り丘の上に駆け上がったシーンの神々しさは圧巻だった。

ストーリーは基本的に秋月復興のための軍資金を太平と又七には内緒で、同盟国早川まで運ぶという単純なもの。しかし秋月は敗戦国なので、山名軍は雪姫の命と軍資金を狙っているので、時には機転を効かせ、時には腕っ節で逃げ切るという展開。
後半の山名兵が山狩で追ってくるのを法螺貝?の音で気がつくシーンは、もしかして『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のギターの音でオマージュされてる??

ラストシーンの雪姫、六郎太、兵衛の立ち位置もスターウォーズep4の全く同じ構図のラストシーンにオマージュされてるね。
そうそう、ハンソロにあたる兵衛の登場は熱かった。彼の気持ちを動かした雪姫の台詞カッコよかった。

"人の情けを生かすも殺すも、己の器量しだいじゃ!"

"これで姫は悔いなく死ねる"


『七人の侍』が良過ぎたというか凄過ぎたので、若干肩透かしは食ってしまったもののエンタメ作品、冒険活劇としては王道を行く面白さで、むしろこの作品が王道を作り上げたんだと思うとかなり凄い作品だということがわかる。やっぱり三船敏郎だなぁ。
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