りょう

隠し砦の三悪人のりょうのレビュー・感想・評価

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)
3.8
 物語はとてもシンプルだし、登場人物も少ないので、それぞれのキャラクターや彼らの逃避行の展開が純粋に面白いです。太平と又七の凸凹コンビは、「スター・ウォーズ」のC-3POとR2-D2だけでなく、いろんな作品で模倣されているように思えるほど、アタマは悪いのにめちゃくちゃ欲深く、喧嘩ばかりなのに仲良しという設定が効果的です。侍大将である真壁六郎太を三船敏郎さんが演じているので、かなり無敵な印象ですが、この2人がことごとく真壁たちの足手まといになって、ほどよくピンチを招いてくれます。
 “隠し砦”周辺のロケーションが素晴らしいほどに荒涼としていて、少しアメリカの西部劇のような雰囲気もあります。序盤の捕虜たちの暴動シーンも迫力があって、こんな貧祖な体格の男性たちを大勢そろえるのは、この時代だからできたことなのでしょう。
 宿敵の田所兵衛との対決は、“なんでこんなシーンが?”と思いましたが、終盤の展開の伏線として必須だったし、槍の一騎打ちというのもレアな殺陣でよかったです。終盤の火縄銃の銃撃シーンは、実弾を使用しているそうです。迫力はありますが、真壁たちが逃れるシーンを編集でつないでいることが目立ってしまって残念でした。
 あまりテンポのいい展開ではありませんが、139分にいろんな要素があって飽きさせないし、太平と又七の登場からラストシーンのオチまで、これがオリジナル脚本というのも驚きです。ただ、現在では差別語になっている単語が連発されるので、ちょっと辛抱が必要でした。
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