くるみ

囚われの女のくるみのレビュー・感想・評価

囚われの女(2000年製作の映画)
3.7
自分を捨てられない"僕''のナルシス全開小説をアケルマンがどのような形で描くのか楽しみにしていました。

彼女に同性愛の疑惑を抱き尾行したり、共通の友達を監視役として同行させる間接ストーカー男。最初からズバリと聞けば良いのにそうしないのは自分を守る為であり、深く苦しむ自分に興味があるから。

この男が恋愛において追求しているのはアリアーヌではなく彼女を愛する自分であり、他者からは愛される自信がないから相手を試し、全てを捨ててでも大切にしてくれる相手でなければ自分を託す事も出来ないので、結局は自分を持て余す。
自分を捨てて飛び込めたら良かったのに!

途轍もなく大きな葛藤を描き主人公の中だけで完結してしまっている物語なので、
アケルマンなりのアレンジや解釈で生まれ変わったものになるだろうと期待していましたが原作を客観的にそのまま映像化しているだけで(設定は少し違う)、ただの拗らせにしか映せていないのが残念。



※どうでも良い話
シネマメンバーズの解説は少しニュアンスが違っているように思えるのは私だけでしょうか。シモンは、アンドレとアリアーヌが関係を持っている事を信じ込んでいると記述されています。もちろんそんな一瞬もあったと匂わせるシーンもありますが、それは一時でアンドレに対しては最後までアリアーヌの監視役として同行させ逐一報告させるので関係性を疑っていないと個人的には思います(原作ではアンドレはシモンを好きなのかもという設定)
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