geji

ショーシャンクの空にのgejiのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
4.0
やっと観た。面白かった

フーコーの「監獄の誕生」を読んだばかりだったので監獄自体が興味深かった

13thを観た後だからか監獄の中が白く見えた

ブルックスがすきだったな

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追記
この映画の人種の扱い方になんとなく違和感があった(「監獄の中が白く見えた」と書いた通り)が、調べてみて「マジカルニグロ」という概念があると知った。

「マジカルニグロ」とは、白人のメインキャラクターを助けるためだけに登場する黒人キャラクターである。白人の主人公を助けるために、自分の力や経験や知恵を貸してくれる黒人キャラクター。レッドだ。
本作ではほとんど黒人が出てこないのに、白人の主人公アンディーを助ける親友のレッドだけが出てくる。
レッドは監獄の中で信頼されていて、彼は彼の持つ知恵や調達係の役を、アンディーのサポートに使っている。
しかしレッド自身はアンディーのように自力で脱獄することはない。脱獄して自由人となったアンディーと、仮釈放の身は異なる。
この差を、映画は、2人の希望への考え方や性格や能力といったもので必然化している。アンディーが白人だから、レッドが黒人だから差があるのではなく、あくまで2人の性格の差だと映画は提示する。
しかしその2人の性格の設定そのものが、白人の主人公を黒人のサブキャラが助ける構図を正当化するものとして作用しているのではないか。

また、違和感があったのはキャラクターの関係性だけではなく、監獄の描き方もだった。『13th』で暴かれた、ジムクロウに代わる黒人隔離装置としてのアメリカの監獄の姿と、本作が描くショーシャンクの姿に乖離があったのだ。
無実またはごく軽犯罪を口実に投獄される黒人が後をたたなかったはずの監獄で、レッドは「実際に殺人を犯した」黒人として描かれている。しかも監獄の中で唯一、有罪だと自称している。これは黒人=犯罪者のプロパガンダを反映した人物設定ではないのか。

またアンディーが脱獄し、レッドが仮釈放された60年代は、監獄における受刑者運動(人種主義撤廃運動)も起きていたくらいのはずなのに、そこには触れられていない。アメリカにおける監獄という人種主義装置で、黒人のキャラクターが登場しながら人種差別は描かれない。その不自然さに違和感を抱いたのだ。
レッドは圧倒的多数の白人収容者の中で、調達屋として信頼を置かれ、白人収容者の仲間達と友情を築いている。
(白人の原作者と白人の監督によって作られた)映画で描かれるその友情の心地よさが、実際の監獄における黒人の状況を見えなくさせる。

もし黒人が作り手だったならば、監獄を舞台にした映画で「希望」などテーマにしただろうか?

本作の映画としての面白さが、こういった人種表象の偏向を覆い隠しているのかもしれない。
映画を観て「おもしろい」と感情が揺さぶられることと、映画の表象を批判することは別のところにある。
私は本作を作り物としておもしろいと思ったが、その表象は人種差別を内包すると批判もする。その2つは両立する。
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